2018年の介護保険改定では、医療や介護保険制度に大きな改革が訪れる。ポイントは、今後も社会保障制度をきちんと続け、なおかつ財政を守るため、さらなるコストダウンを進めること。今後は所得に応じた負担が求められるが、すでに介護保険料や高額介護サービス費などの見直しが決まっている。

高齢者で負担増の対象となるのは、単身で年収340万円以上の「現役並み所得」の人。40歳以上の現役世代のサラリーマンも、平均水準よりも所得が高い人を対象とした介護保険料の見直しが行われている。今後は、高齢者も現役世代も負担能力の高い人々が、介護保険制度を担っていくことになる。

 

単身で年収340万円以上は負担増に

改定後、2018年8月から、年収340万円以上の「現役並みの所得」の人は介護保険利用料が3割負担になることが決まっている。2015年の改定時に、一定所得がある人は2割負担に引き上げられたばかりだが、今回さらなる負担増となる。今後は、支払い能力に応じた負担が求められていく。

当初は「現役並み所得」として世帯収入を検討していたが、これでは年金収入280万円未満で1割負担の家族も3割負担になってしまうため、対象を「世帯」ではなく「個人」に改めた。施行されるのは2018年8月から。3割負担に該当するのは約12万人で、介護保険を利用している人の約3%に当たる。

 

高額介護サービス費は上限額を4万4400円に統一

介護サービスを利用する場合、利用者の月々の負担には上限額が設定されている。負担額が上限を超えると、その分が払い戻されるのが、「高額介護サービス費」制度だ。今回は、この上限額が改定された。今までは、現役並み所得者に相当する人がいる世帯は4万4400円、世帯内の家族が市区町村民税を課税していれば3万7200円に設定されていた。これが今後は、4万4400円に統一される。

介護保険利用料が3割増になっても、介護サービスの利用が多い人は「高額介護サービス費」制度を活用し、大きな負担増とならないケースも見込まれる。また、介護サービスを長期利用する人に配慮して年間上限をなど設定し、負担額が増えない措置もとっている。

 

現役世代の介護保険が変わる。「総報酬割」とは?

高所得の高齢者のほかに、現役世代を対象とした法改定も進められている。それが、40~64歳の現役世代サラリーマンの介護保険料を収入に応じて算定する、「総報酬割」の導入だ。介護保険は、保険料50%と公費50%でよってまかなわれている。40~64歳(第2号保険料)が支払う保険料は、全体の約30%を占める。

介護保険料は、医療保険の加入者数によって算出されていたため、今までは、医療保険によって負担の割合に差があった。「総報酬割」を導入することで、平均収入が高い人の保険料負担を増やし、国庫補助の負担を減らしていく方針だ。導入後は、40~64歳の現役世代に対し、新たな計算方式で介護保険料を算出。大企業の社員や公務員など、給与水準が高い場合は負担増となる。導入当初は緩和目的のため、2017年~2020年にかけて段階的に行っていき、17、18年度は1/2、19年度は3/4、20年度に完全移行となる。

 

2017年7月14日掲載